9月30日TBSテレビとネット局で放送された「噂の!東京マガジン」で、図らずも板橋区政の一面を垣間見る報道がありました。
TBSテレビ「噂の!東京マガジン」噂の現場 保険証が取り上げられる!医療保険制度の崩壊!?
シリーズ「日本の医療を考える」第三弾。今回は保険制度にスポットを当てる。
健康保険には国民健康保険(自営業や農漁林業などの従事者が加入)やサラリーマンが加入する組合健康保険などがある。その中の国民健康保険(国保)では保険料の滞納が増えており、昨年は480万世帯(国保世帯の5分の1)にも及び過去最高を記録した。
保険料を滞納すると保険証が取り上げられ、期間限定の「短期保険証」が発行され、さらに滞納を続けると医療費が10割負担になる「資格証明書」が発行される(保険料を支払えば後で保険分が戻ってくる)。こうした「資格証明書」などの発行件数は10年で約8倍になったという。
保険証を取り上げられた人たちについて、「短期保険証」「資格証明書」の発行率が高い山梨県で取材した。そこでは悲惨な状況が見えてきた。
77歳の男性は目をケガしたのだが保険証がないところから一週間医者に行くのを我慢した。その結果、症状が悪化し失明寸前になった。経営するラーメン店の売り上げが激減し保険料を払えなくなったという。
ある病院では、保険証がないために治療が遅れ死亡に至った例が2例あった。全国では29例にも上っている。
また、100歳のおばあちゃんが保険証を取り上げられた例まであった。
国保の場合、2000年から「資格証明書」の発行が義務付けられた。しかし、特別な事情があれば発行されないのだが、その判断は各自治体に委ねられており対応がバラバラ。
東京23区の場合、その違いは歴然としている。「資格証明書」の発行数を見てみると・・・ダントツに多いのが板橋区で、6322件にもなる。これは世田谷区の156件、渋谷区の12件に比べると際立って多い。板橋区の考えは「医療費の補填に年間約60億円もかかっており看過できない。公平に負担をしてもらうのが筋」。
一方、世田谷区は「資格証明書の発行で被保険者との接点が途切れてしまう。本人と何度もやりとりし個々の事情を厳密に検討したい」という考え。
さらに、お年寄りに酷な制度が来年4月からスタートしようとしている。75歳以上の高齢者をターゲットにした「後期高齢者医療制度」だ。
この制度は
・75歳以上の高齢者全員を独立した新医療制度に加入させる
・都道府県単位で保険料(東京都は最大で月1万3千円)を年金から天引きする(子供などの扶養家族になっていて自らは保険料を払っていなかった人からも徴収する)
・未納者には資格証明書が発行される(これまでは70歳以上には発行されなかった)
夫婦なら2人分、死ぬまで天引きされる制度が始まるのだ。これに介護保険料も加えると年金暮らしの高齢者には負いきれないほどの負担になる。専門家は「まさに姥捨て山の制度だ」と反対する。
一方、国は「75歳以上の高齢者は約1300万人、その医療費は国民全体の3分の1にもなっている。高齢者にも応分の負担をしてもらい、若い人を含め国民全体で医療費を公平に負担する仕組みだ」という。
負担の公平性という観点からは議論が分かれるところだが、制度が始まると保険証を取り上げられる高齢者が増えるのは確かなようだ。
私たちの国から「福祉」という言葉がなくなるのだろうか?
これまで板橋区は23区の中でも、特に老人や障碍者に優しい街だと何となく思って来ました。暖かい区政でこうした人たちが住みやすい街なのだと思い込んでいました。
今日このテレビを見て大変驚きました。いつの間にこんな冷たい仕打ちをする区になってしまったのでしょうか。
成城や桜新町などの高級住宅街をも抱え、弱者には冷たいかと思っていた世田谷区が渋谷区に次いで国保資格証明書の発行が少ないと言うことでした。一方板橋区の同発行数はこの40倍以上とのこと。いつからこんなに弱者に冷たい仕打ちを始めたのでしょうか。
「医療費の補填に年間約60億円もかかっており看過できない。公平に負担をしてもらうのが筋」というのは実に正論です。確かに真面目に健康保険料を払っている人から見れば、不公平とも取れます。
しかし健康保険は年金とは違います。一人ひとりの健康‥最低限守られるべきものを脅かす措置です。本来老人は今まで無料で医療を受けられたものが、一部負担金の導入、1割負担と、どんどん給付は引き下げられ、一方で保険料を払えない人たちから保険証を容赦なく取り上げるのは、区がそうした区民に対して「死ね」と言っているのに等しいと思います。
今回の放送・取材で少し考え直して欲しいと思います。保険料徴収で多少の不公平があっても取り敢えずその問題は先送りでも良いではないですか。一部区民の生命を見殺しにするこの措置は、私は断じて許せません。